高齢になると、歯を失う確率も高くなります。それまでどうにか取り繕っていた歯も、限界を超えて複雑な治療が必要になることもあります。最終的には抜歯が必要になる可能性もあります。高齢者の歯科治療で気をつけたいのは、既存の病気やその治療薬です。
糖尿病は歯周病や虫歯の進行を早めますし、根の治療を行っても症状が落ち着かずに、どんどん歯を失っていく原因になることもあります。また、骨粗しょう症などの治療に使うビスフォスフォネート系の薬は、抜歯を行うときに顎骨の壊疽の危険率を高めてしまうと言われています。脳血栓や心筋梗塞の再発防止薬であるワーファリンやバイアスピリンと呼ばれる抗凝固剤は血を固まりにくくさせる作用があるので、抜歯などの出血を伴う歯科治療のときには注意が必要です。高齢になると服用する薬の種類も増えて、歯の治療に悪影響をもたらしてしまう可能性もあります。
歯科では治療の最初に問診票への記入を求められます。その際に今飲んでいる薬を書いておくか、直接担当医に飲んでいる薬を伝えておくようにしましょう。お薬手帳を持参していくと確実です。最近の見解では、抗凝固剤を中断せずに、抜歯後の止血を十分確認するように言われています。
止血のスピードが遅くても、ガーゼのようなもので強く圧迫し続けていれば必ず止まるとされています。高齢になると歯だけではなく、全身が衰えてきます。他の疾患の治療と歯科治療を同時に考えていく必要があります。
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