歯の表面にあるエナメル質は、無機質が99%を占める、硬くて強靭なつくりをしています。しかし、長年の噛み合わせによって、徐々にすり減ることは避けられません。放出後40年を経過した50歳代の人の歯は、噛み合わせ部分に1mm近くあったエナメル質がすべて失われてしまっていることもあります。噛み合わせによってエナメル質が失われることを指して、咬耗(こうもう)と言います。
これは生理的な加齢変化です。子どもの歯は白色をしていますが、加齢によって褐色がかってきます。これは象牙質の部分が年齢とともに石灰化が進み、硬くなると同時に褐色がかってくるためです。このような象牙質の石灰化の更新は、虫歯や歯周病に対する抵抗力を高めているとも考えられています。
ただし、石灰化すると象牙質内で有機質が無機質に変化して、有機質が失われて脆くなっていきます。歯の表面のエナメル質を石なった象牙質は、噛み合わせによって一気にすり減ります。加齢に伴い近く過敏が起こりやすくなるのも、歯がすり減って薄くなり、神経に近づいたことで刺激を感じやすくなるからだと考えられています。知覚過敏は歯の悲鳴とも言われています。
40~50代くらいの年齢になったら、定期的に歯科検診を受けるようにしましょう。今までトラブルがなかった人でも、歯科検診を受けたら虫歯が見つかったり、歯の磨耗が見つかることもあります。定期的に歯科に通うことで、歯を失うリスクを減らすことができます。
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