歯科は医療の中でも特に消費者に近い位置にある業界で、各地にはさまざまな歯科医院が存在するようになりました。しかしそうした状況は必ずしも歯科業界にとって好ましいものではなく、むしろ現状は非常に苦しいものになっています。ではどうして苦しい状況になっていると言えるのかと言うと、特に問題になっているのが競争相手である医院が増えすぎたことです。これまで歯科を開業した医師は年収数千万円で、一生安泰だとされていました。
確かに医師という職業はほぼどのような場所でも一定以上のニーズがある人材ですから、一生安泰だと言われるのはウソでは無かったのでしょう。ですがこと「歯医者」という医師に限って言えば、その道を志す人が非常に多かったこと、そして開業する人が非常に多かったことによって供給過多の状態になってしまいました。毎年2500人もの新人医師が生まれる世界となってしまったことによって、医院の数は日本中どこにでもあるコンビニの1.5倍という凄まじい数にまで増えてしまっています。しかし歯科医療費、つまり業界全体に支払われる医療費自体は増えていませんから、変わらない収入をこれまでよりも多くの意思が奪い合う状態になってしまったのです。
それによって現状、この業界に勤める医師の20%は既に年収300万円以下となり、100人中5人は申告所得がゼロ円という惨憺たる有様になってしまいました。これは他人事では無く、少ない診療費を奪い合ってより安く、素早く施術を行う医療のファストフード化も懸念されており、インプラントなどでは既にそうした問題が顕在化し始めています。日本には今後この問題に対してどのように対処していくべきなのか考えることが求められているのです。
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